2.紅に染まる日


 

―――ついさっき。創造神と魔神が、この星の統一をかけて戦い・・・・・・
聖魔戦争が終わりを告げた。
魔神は敗れ、それまで繁栄していた種族、恐竜は滅んだ。
そして、創造神は新しく人間と魔族にこの星の主導権を任せようとしていた。
―――魔神は封印されたが、魔神の腹心である魔神官の2人は創造神の意向により、
1人は人間として、もう1人は魔族として生きることを許された。

「負けちゃったね。私たち。」
雲があしもとに見えるくらいの岩山に、2人はいた。
口を開いたのは、人間となったほうの魔神官。
うすい桃色の肩までの髪がかわいい、女の子であった。
「ふ・・・・・・運命には逆らえませんね・・・・・・」
もう1人は魔族となったほうの魔神官。
右目が黒髪で隠れている、かっこいー男である。
「ねぇ、ネストレック。私、人間を信じてみようかと思うんだ♪」
「・・・・・・本気ですか・・・・・・?・・・・・・ファリス・・・・・・」
「創造神もせっかく生かしてくれてるんだし・・・・・・それに・・・・・・」
「・・・・・・それに・・・・・・」
―――ファリスはにっこり笑って言う。
「人間って楽しそうだよ・・・・・・私たちより。
 ・・・・・・生命力があるってゆーのかなぁ♪」
「・・・・・・ふ・・・・・・人間ですか・・・・・・」
「ね、きっとにんげんはこの星をすばらしくできるんじゃないかな♪」
どこまでも青い空。気持ちのよい風がふんわり髪をなでていく。
「・・・・・・そうですね・・・・・・以前栄えていた種族…恐竜族よりはいいかもしれません
 ・・・・・・私も魔族を信じてみますよ・・・ファリス・・・・・・」
ネストレックも小さく笑った。
「うん、がんばろう♪」

―――パリィィン!
なんの前触れもなく、窓ガラスが割れる。
空中に散る破片の間から生えているのは血まみれとなった手である。
「ファリス・・・・・・やはりあなたの考えは間違いでしたよ・・・・・・」
ふだん、感情の読めない瞳をしているネストレックだが、今の目ははっきりとわかる。
―――憎しみ・・・・・・
怖いくらい伝わってくる憎しみの瞳に、彼がまとっている邪気もいっそう激しくなる。
「人間など・・・・・・滅ぶに値する存在です・・・・・・
 あなたも身をもって知ったことでしょう・・・・・・」
床に、ぽたぽたと手から血を流しながら、ゆっくりと歩きはじめるネストレック。
「見ていてください・・・ファリス・・・・・・星もろとも人間が滅ぶ姿を・・・・・・」
―――聖魔戦争―――・・・・・・あれから1万年である。
そして、ファリスがこの世を去って1万年である・・・・・・。

 

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