その2


さて。作戦決行の時が近づく。
すでに3人はリミリフルトの屋敷付近に移動している。
まず、メリィとミナが屋敷に突入だ。
「メリィ、気をつけてね」
「エリィもしくじってはダメですよ」
二人は手のひらをパンッと叩き合う。
エリィはミナに手を振ると、そのまま二人から離れていった。
――午後五時二十分。
リミリフルトの屋敷は、いまいる商店街からもう少しひとけのない場所にあるらしい。
というか、さっき確認してきた。
屋敷の周囲に建造物が少なく、庭もかなり広かったので、思いっきり暴れても他の人々に迷惑はかからないっぽい。
「さて、行きましょうか」
「あ、はい……って何かメリィさんうれしそうですね」
表情を読み取らせないことには自信のあるメリィだが、なぜかミナにはわかってしまうようだった。
「そうですか?……まあ、体を動かすというのはいいことですし」
「え?戦うんですか?私達ってマジックアイテム取ってくるだけじゃないんですか?」
「そううまくはいかないものですよ」
「……っていうか、メリィさん自身が戦闘を誘発させそうで怖いんですけど……っていたたっ!痛いですぅ」
「その生意気な言葉を発するために口と声帯の筋肉を動かすように命令したのはこの脳ですか?」
メリィの左手はミナの頭を鷲づかみにする。
ぐっ、ぐっ、と力が込められたりした。
「んきゃああ〜メリィさん握力強いでふぅ〜」
「行きますよ」
「はいぃ〜いたたっ」





何やら立派な門。
その向こうに見える屋敷。
「金持ちってヤですね」
メリィは、ぽそりとつぶやいた。
自分の身長の一・五倍の高さはある(メリィの身長は低いという突っ込みは却下)、鉄製の門は黄金の装飾まで施されている。
いつか、この金は盗まれると思う。
「まあ、そんなことはどうでもいいですが」
メリィは門の横側についている呼び鈴らしき四角いものを押した。
そう、「押した」である。
おそらくこのボタンを押すと、地下に埋められた電気ケーブルをつたって信号が屋敷内部に伝達されるのであろう。
一般家庭にはおおよそ普及してないシステムだ。
――やがて、使用人らしき女性がこちらに向かって来た。
年のころは二十すぎというところか。
メイド服を着ている。
「はい……何か御用でしょうか?……あッ、お嬢様!」
「どうも、ただいまですぅ〜」
「心配しましたよ〜、お嬢様」
「えへへ、でもメリィさんがここまで送ってきてくれたんですよー」
「まぁ、どうもありがとうございます」
メイドが、屈託ない笑顔でお辞儀をしてくる。
「いえいえ」
メリィも純粋無垢っぽい笑顔で返す。
このへんのメリィの演技はたいしたものである。
にこにこしている。いつも無表情なメリィが。
ミナが驚愕の表情でこちらを見てきたが、メリィは無視することにした。
「あ、よかったらあがって紅茶でも飲んでいってください、メリィさん」
とミナが言う。手はず通りだが、ちょっとひきつった顔で。
「そうですね、おもてなししますよ。どうぞ、こちらへ」
と、メイド。
――どうやら、無事屋敷に潜入できそうである。

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